月刊人事労務

労働組合法上の労働者(ウーバーイーツ配達員の労働者性)

◆はじめに
本年11月26日の日経新聞では、東京都労働委員会が料理配達サービス、ウーバーイーツの運営会社などに対し、配達員らの労働組合と団体交渉に応じるよう命令したとの報道がありました。
◆労働委員会とは
労働委員会とは労働組合法(以下、労組法)19条により定められた行政委員会で、労働組合と使用者との間の集団的労使紛争を簡易迅速にかつ的確に解決するため「あっせん、調停及び仲裁や不当労働行為の審査」などを行っているもので、各都道府県と国(中央労働委員会)があります。
◆労働組合法の労働者
労働基準法(以下、労基法)9条は、労働者を「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義します。労組法3条は「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」と定義し、「事業又は事務所に使用される者」という文言がありません。このため、法令の解釈に当っては、労基法上の保護の対象となる労働者は使用従属性が認められる者となり、労組法上の労働者は、この範疇よりも広く認められ、使用従属性よりも経済的従属性等を重視し、団体交渉で保護すべき対象は誰かということを重視します。有名な事例では、個人事業主の団体であるプロ野球選手会が団体交渉の当事者として裁判所により認められています。※
※東高決平16.9.8裁判所 HP 参照(平成 16 年(ラ)1479 号)
◆この事例の争点       
ウーバーは、プラットフォームの運営事業者であり、配達員はプラットフォームの利用契約を締結し、仕事を選んで働いている方達です。ウーバーイーツに関しては、飲食店と料理を配達して欲しい注文者と、配達パートナーとをマッチングさせているだけで、料理の配達がプラットフォームの運営側に対する労務の供給と評価できるのかが問題となりました。労働委員会は「・・プラットフォームを提供するだけにとどまらず、配達業務の遂行に様々な形で関与している実態があり・・配達パートナーが純然たる『顧客』(プラットフォームの利用者)にすぎないとみることは困難」とし報道の命令を下しました。尚、ウーバー側は12月8日に中央労働委員会に再審査申立を行っており、裁判に至る場合も有り、本件の決着は先になりました。
(参考)日経電子版(11/25、26、12/8)
東京都労働委員会https://www.toroui.metro.tokyo.lg.jp/k/2022/meirei30-31k.html

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